Twitterに書いた、コミックギア誌の感想をまとめました。書かずにはいられなかった、といっておきましょう。

コミックギア200ページぐらいまで読みました。なぜ一度に読めないかというと、「この見開きは無いよなぁ」「この行動の動機付けは弱いなあ」「この決め台詞はケレン味が足りないなあ」「取材というものを全然していないなあ」等、なぜつまらないかを考えながら精読せざるをえないからです。

ヒロユキという作家は、あらゆる意味で個性の極めて強い人だと思っています。そこだけに着目すれば本宮ひろ志にも匹敵するでしょう。しかしその武器は、誰にでも使いこなせるようなものではないのです。たとえ師弟関係だとしても。「で、斬れんの、その武器?」という疑問はこの際措いておきましょう。

とりあえず、この事態を正確に表現するには、『コミックヒロユキ』よりも『コミック俺様』という愛称を使うべきかと思います。全ての漫画において『傍若無人で喧嘩最強な俺様誰にも咎められることなく大暴れ』という世界観が貫かれています。

(注:ここまでは200ページまで読んだ段階での感想。以下は読みながらのリアルタイム更新)

『スーパー俺様ラブストーリー』
第1話。「俺様」はこの雑誌を貫くテーマなんだと、今にしてつくづく思います。極端すぎる設定はコメディだから悪くないけど、その上で描かれるシーンがことごとく杜撰。ヤンキーに絡まれてからヒロイン登場までの流れとかぎこちなさすぎる。それと、こんな贅沢に大ゴマ使う漫画みたことないよ。出会いの見開き2連発はインパクト大だけど。男がドキドキいってるデッサン狂いのバストショットを、連発でズババンバーンと見せられても、あんまり嬉しくないよ。

『マシンガンソウル』
酷い、と思います。竿尾悟を10000倍に割ってヒロユキを足したような絵が気持ち悪い。出来の悪いコンシューマFPSのリプレイのような戦場描写。『痛み』の描写にいくら力を注いでても、結局普通に戦場を走ってるし、解決はファンタスティックに過ぎるし。熱血バカが、熱血だからという理由だけで死ななかったり、逆境を突破したり、組織に(鉄砲玉的な意味じゃなく)重宝されたり女に惚れられたりってパターン、そろそろ飽きときません?

『大魔王ザキ!!』
酷すぎる、と思います。性格が最低最悪な主人公というのはアリだろう。だがそれを「いいもん」のように描くのは駄目だ! 自分の師匠に向かい、隙あらば「くたばれジジィ!」とたびたび殺しにかかり、夢遊病者のように「俺は世界を手に入れる男だ」と呟き続けるこんな妄想狂のクズを、なんの理由もなく赦し続け「なんか知らんけどいいもん」として扱うこの漫画は、心底クソッタレだ!!

『ゴーストラッシュ』
酷すぎるにも限度があるだろう、と思います。マツダと鳥取砂丘をカクテルして1000000倍に割ったようなクリーチャーが気持ち悪い。目の前でクリーチャーが人襲いまくってるのに、体が汚れるからと傍観を決め込む最強野郎。こんなドカスを主人公にするなよ。1話でライバルとして出して即殺せ。大ゴマを目一杯使って描かれる『俺様おおあばれシーン』に対して、一般市民が虐殺される描写の軽いこと軽いこと。ああ、胸糞わりい。死ね!!

『Good Game』
ここにきて普通に読めるマンガが出てきて、かなり驚かされました。しかし、題材となる『eスポーツ』がどういうルールなのか、トッププレイヤーに必要とされる能力の凄さとは、主人公の天才ぶり、そういったものを説明セリフではなく、説得力ある絵で見たかった。

『スーパー俺様ラブストーリー』
第2話。読んだ。というか見た。神かヒロユキにしかできない大コマの使い方だ。

『ヒヨコと道化と不思議の町と』
面白いです。きちんと『異世界』を描こうとしているし、もはやこの雑誌の名物といえる大ゴマ連発芸も、手抜きではなく強烈な効果をあげる方向で使われている。なにより主人公の性格に嫌らしさがなく、好感を持てる。第二話以降へ興味を持たせるヒキも十分。

『デスハート』
つまらないです。別天荒人を100000000倍に割ってヒロユキを足したような絵柄が気持ち悪い、3流ヤング誌の後ろの方感。内容もそんな感じ。10数ページ読んだ時点で1話分の展開すべてがほぼ正確に予想できる。

『アシュラ』
つまらなさすぎます。なにこの絵!? ここどこ!? 盗賊団!? え!? 何が起きてるの!? 何をやってるの!? もう全てがわからない!!!!!! 80年代に帰れ!!!

『プリンセスサマナー』
面白くなりそうな予感はします。勝ちたい者vs負けたい者というヘンな状況に持ち込む手際が鮮やか。2人のキャラも立ってる。あとはカードバトルの内容をしっかり練って、ヒロユキ見開き(いま命名)の使用をやめれば、いくらでも面白くなれそう。

総評。
俺様ちゃん最強なヒロユキ主人公マンガが延々続くのかと危惧していましたが、前半の4作品でそれは打ち止めになりホッとしました。後半はまた別の方向に突き抜けてしまってる作品もありましたが、つまんないだけでムカつかない分まだいいですよね。

総じて、シチュエーションの設定までを周到に準備したものの、そこで力尽きたのか、以後のシークエンス構築はボロボロな作品が、たいへん多いです。巻頭言で宣言された『読むことが面倒であったり、疲れたりしないマンガ』という目標は確かに達成されていますが、それを、キャラクターの数を極力減らしたり、行動原理を単純化したり、展開の読めなさをパージして勢いとノリをぶち込んだり―― といった方法で実現させているので、疲れない・でも味もしない・続きも気にならないマンガばかりができてしまいました。

ヒロユキという実質編集長の他に無い個性であり、自分の口には合わない、というだけの話ではあるのですが―― 本気で、「自分たちが」面白いと思うものを作ってるのは伝わってくるんです。漫画スキャンブログに取り上げられるような釣り要素(REDいちごとか、ね)をばらまくような真似もせず、漫画で真っ向勝負する意思は見えます。だからこそ、この雑誌は痛い。痛いんです。
posted by umimoto_hiroki at 04:17 | TrackBack(0) | 日記
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